双子で優勝候補、レスリングの猛者、反則ギリギリのはみ出し者...... CJI注目選手をご紹介!!
双子で優勝候補、レスリングの猛者、反則ギリギリのはみ出し者...... CJI注目選手をご紹介!!
CJI=Craig Jones Invitational
現地時間2024年8月16日(金)~17日(土)、アメリカのネバダ州ラスベガスにあるトーマス&マックセンターでは、世界最大のグラップリング大会「CJI(Craig Jones Invitational)」が開催される。
ADCC(Abu Dhabi Combat Club)に対抗するイベントとして、日程と場所を限りなく被せてきたCJIは、男子2階級(-80kg、+80kg)で16人トーナメントが行われ、そのブランケットも発表された。
本項では、各階級のトーナメント注目選手を紹介したい。
<-80kgトーナメント注目選手>
●ケイド・ルオトロ(Kade Ruotolo)
男子-80kgの優勝候補は、ケイド・ルオトロだ。
前回のADCC -77kgでミカ・ガウヴァオンからまさかのタップを奪って優勝した他、最近はONE FCでもチャンピオンとして活躍している。
ONE FCではMMAに挑戦して勝利しているケイドは、長い手足をうまく利用したトップゲームが得意で、どこからでも入るダースチョークが特に強力だ。
また、双子の兄はタイ・ルオトロで、同じくCJIの-80kg級に出場する。兄のタイは坊主、弟のケイドはアフロで見分けやすい。兄も似た戦い方であり、ONE FCでは兄弟で活躍している。タイは、7月の「ONE Fight Night 23」でジョセフ・チェンに勝利しており、双子で優勝&準優勝ということも十分ありえるだろう。
●アンディ・バレラ(Andy Varela)
圧倒的な優勝候補ではないものの、今回注目してほしい選手が10th Planetラスベガスの所属アンディ・バレラだ。
10th Planetと言えば、ボトムからのラバーガードやバックを取ってからのツイスターなどが有名だが、アンディはスタンドでの激しいレスリングとパスガードが特徴だ。
アンディは反則ギリギリ、場合によっては完全に反則のような、ほぼ打撃と言っても過言ではない組み手争いを行う。以前、PGFというグラップリング大会で優勝したが、その時はバックから目の下、そしてもはや目をグリグリしてチョークを取るというダーティムーブを披露している。
さらには、ほぼ掌底打撃のような組み手争いをして話題になったこともあるアンディ。ADCCの北米予選ではジョン・コムズと激しい試合をして、ジョンが吐いて負けるという前代未聞の事件も起きた。ずっと激しい動きができるスタミナもまた彼の強みである。
今回のCJIは5分3ラウンド・ラウンドマストのポイント制であるため、このアンディのスタイルがルールにフィットする可能性が高く、観客を沸かせる試合になりそうだ。
初戦の相手は、なんとグラップリング界の超新星、ジョセフ・チェンだから楽しみと言わざるを得ない。
●岩本健汰(Kenta Iwamoto)
ADCCアジア&オセアニアトライアル(-77kg)を制した日本を代表するグラップラー・岩本健汰がCJIに参戦、-80kgに出場し、初戦はATOSの黒帯で「ハルク」の異名を持つルーカス・バルボーザと対戦する。
「1億6千万円を手にして戻るから、トー横キッズたちは目をかっぴらいて見とくんだな」というポストで国内の柔術グラップリング界隈をざわつかせた岩本。8月の円高により「賞金がいつの間に2000万円減った」とボヤき節を見せたが、柔術の世界選手権をギとノーギで制し、パワーとテクニックと経験を有するルーカスとの初戦、あるいは、準々決勝のジョセフ・チェン or アンディ・バレラというトーナメントは過酷そのもの。その底力に日本の期待が集まる。
●ジェイソン・ノルフ(Jason Nolf)
昨今のグラップリングにおいて、重要となっているのがレスリング技術である。自らボトムを取るという戦術が廃れてきて、いかにトップを取るか、スタンドでの競り合いが多くなってきた。
ここで、ある程度のサブミッションに対する防御力があり、レスリングが非常に強い選手が現れたらどうなるだろうか。この疑問への答えこそが、ジェイソン・ノルフである。
ジェイソンはアメリカにおいてフリースタイルとフォークスタイルのレスリングでさまざまな実績を残している選手である。
また、2024年にはグラップリングの試合に出て、一本勝ちを収めている。その試合でタックルの速さとグラウンドのコントロール力は、普通のグラップリング選手と段違いのレベルにあった。
他にもレスリングが強いグラップリング選手として、今回はADCCに出場するドリアン・オリバレスがいるが、実績としてはジェイソンのほうが圧倒的に上である。
今回は5分3ラウンドで各ラウンドにスコアがつけられるルールであるため、ジェイソンが各ラウンドにおいてスタンドで圧倒していれば安定して判定で勝てる可能性があり、一味違った異種格闘技戦が楽しめそうだ。
<+80kgトーナメント注目選手>
●ニッキー・ロドリゲス(Nick Rodriguez)
今回のCJI+80kg級の優勝候補は、ニッキー・ロドリゲスだ。B-Team所属で、ADCCで2度の準優勝をしている。グラップリング歴が浅いにも関わらずベテランの黒帯選手をどんどん倒して、話題になった。
レスリングとボディロックパスが得意で圧力も強く、以前はトゥーホールドでゴードン・ライアンの足首を鳴らすということもあった。
しかし、比較的最近、同じ階級に出場するヴィトー・ウゴに判定負けを喫しているため、圧倒的な優勝候補とは言えないだろう。
●カイル・ベーム(Kyle Boehm)
圧倒的な強さがある選手ではないが、注目選手から外せないのがカイルである。10th Planetの選手で、QUINTETにも出場したことがある。
これまで様々なタイトルを獲り、ゴードン・ライアンとも戦ったことがあるカイルだが、社会的に問題がある発言をして大会を追放されるなど、色々な事件を起こしてきた選手でもあるのだ。
Instagramのアカウントも消しては作り直しているカイルは、10th Planetの選手としては珍しく身体が大きく、ボトムからの足関節が得意な選手だ。特に潜ってからのアウトサイドヒールが強力で、最近は重量級においてボトムから足関節をメインの戦い方とする選手が少ないため、このCJIのルールの中でどのような活躍をするのか目が離せない。
●パット・ダウニー(Pat Downey)
男子-80kg級ではレスリングの強豪選手としてジェイソン・ノルフがいたが、+80kg級のレスリングの強豪選手はパット・ダウニーである。
フリースタイルのレスリングで実績を残し、その後にMMAやグラップリングに挑戦しているパットは、MMAでベラトールに出ていた。以前、ゴードン・ライアンとレスリングとグラップリングそれぞれのルールで戦い、レスリングで圧勝しつつ、グラップリングではなにもできずに負けるということがあった。
また、ニック・ロドリゲスともレスリングで試合を行い、圧勝したこともある。Instagramの投稿を見る限り、最近はグラップリングの練習をたくさん行っているため、ゴードン・ライアンに完敗した時よりもずっと強くなっているだろう。
同じ階級の反対ブロックには、もう一人のレスリング強豪選手としてグレッグ・ケルクリートがいるが、こちらはグラップリングの経験がないため、その点ではパットのほうが有利と言えよう。
そんなパットの初戦は、今年で40歳になる元UFC王者ルーク・ロックホールドだ。そのレスリング技術がどう勝敗に影響するかが楽しみだ。
執筆&監修:@dmaggot666
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