柔術は、もっとシンプルでいい。第2回「柔術を支える3つの根っこ」文=戸倉巌
柔術は、もっとシンプルでいい。第2回「柔術を支える3つの根っこ」文=戸倉巌

皆さん、こんにちは。
柔術愛好家の戸倉です。
先日、57歳になりました。
母と祖父も同じ誕生日です。
へー
*
今回は、
柔術をシンプルにしていくうえで
大切にしている3つの考え方について
書いてみます。
ベース
コネクション
ウェイトディストリビューション
この3つです。
正直、最初に聞いたときは
「え? なにそれ?」
という感じでした。
技の名前でもないし、
ポジションでもない。すぐに強くなれそうな雰囲気もない。
あと、ウェイトなんとかは、
言いにくいし……
でも実際に試してみると、少しずつ印象が変わっていきました。
*
まずは、ベース。
簡単に言えば、土台ですね。
スタンドのときも、
上のときも、下のときも。
自分が崩れていないかどうか。
これが、地味に難しい。
たとえば、相手に引き込まれたとき、
バランスを崩してしまうことがあります。
力(りき)んでいると、
その分、自分が不安定になっている。
そんなことが、
少しずつ分かるようになりました。力で抵抗するというより、
崩れない位置にいる。
そんな感覚に近いかもしれません。
*
次に、コネクション。
これは、相手とのつながりです。
ただ触れているのではなく、
ちゃんとつながっている状態、
でしょうか。
これが無いと、
相手は自由に動いてしまいます。
たとえば、
「さっきまでコントロールしてたのに、
なんで?」というときは、
だいたいそれが外れています。相手の動きがそのまま伝わってくる。
そんな状態が続いている感じです。
*
そして、
ウェイトディストリビューション。
(言いにくい……)
ウェイト(体重)のかけ方です。
たんに体重を浴びせる、ではなくて、どこに、どうかけていくか、かなぁ。
同じ体重でも軽く感じるときと、
重く感じるときがあります。
力任せに
抑え込んでいるわけではないのに、なぜか動けない。
逆に、力を込めているのにするっと抜けられてしまう。
その違いは、
ウェイトの伝え方、かけ方に
あるように思います。
うまく伝わると、
相手は動きが制限され、
呼吸が乱れ、疲れていく。そして、そういう流れの中に、
自然とサブミッションが現れるんです。
「こうなるんだ!」って驚きました。
*
この3つ、それぞれ別々のことみたいですが、
実は全部つながっているんです。
ベースが崩れると、コネクションも活きてこない。
ベースとコネクションが弱いと、
ウェイトもうまく伝わらなくなる。
どうやら、
どれか1つだけ良くすればいい、という話ではなさそうです。
なので、あたりまえですが、
すぐにうまくできないんですよね。
「あれ、今の何だった?」ということの繰り返しです。
ただ、ひとつ言えるのは、この3つを意識するようになってから、柔術の見え方が変わってきました。
同じサイドポジションでも、
同じマウントポジションでも、見た目はそんなに変わっていないのに、感触が違う。
私自身、まだ途中ですが、
そんなことが増えてきました。
これまでとは違う楽しさです。
次回は、よく知っているポジションの中で、この3つがどう関係してくるのかを書いてみようと思います。
書き手:戸倉 巌/1969年東京都出身。2009年5月、橋本欽也氏に誘われ、SMACK MMA STUDIO@MUSE(現MUSE柔術アカデミー)で柔術を始める。2010年9月、TRI-FORCE青山(現CARPE DIEM青山)に入会。2020年12月、石川祐樹氏より黒帯授与。2023年8月より石井拓氏に師事。2025年6月よりラテンス柔術のインストラクターとして時々活動。159㎝、60㎏。CARPE DIEM青山会員。戸倉 巌 Instagram
