ムンジアルに名を刻んだ銅メダル、池田海南江「私にはこれしかないし、やるしかない」
ムンジアルに名を刻んだ銅メダル、池田海南江「私にはこれしかないし、やるしかない」
KINGZ JAPAN Athlete Interview

現地時間5月31日(土)、アメリカ・ロサンゼルスのウォルター・ピラミッドで開催されたブラジリアン柔術の世界選手権「ムンジアル」において、日本から女子黒帯ルースター級に出場した池田海南江(IGLOO)が銅メダルを獲得した。
女子黒帯カテゴリーにおける日本人選手のメダル獲得は、2019年に準優勝を果たした湯浅麗歌子以来、実に5大会ぶりであり、まさに快挙といえる。
だが、池田の掲げてきた目標は「世界一」。近年、世界の大きな大会で戦い続けてきた彼女にとって、今回の結果は心から満足できるものではなかったかもしれない。
それでも、世界最高峰の舞台でメダルという形ある成果を残した事実は揺るがない。極限のプレッシャーと実力者がひしめく中で、池田がその実力を証明したことは、日本柔術界にとっても大きな希望である。
大会後、池田は自身の試合や今後について語ってくれた――。

――ムンジアル3位入賞、おめでとうございます。嬉しい、悔しい、色んな気持ちが入り交じっていると思いますが、大会を終えた率直な感想を教えてください。
池田:悔しい気持ちはありましたが、割とすっきりした気持ちが大きかったです。
――パン選手権では悔しい敗戦がありました。パンからムンジアルまで、どのように気持ちを切り替え、どのような練習をしてきましたか?
池田:パンで負けた時は自信をなくしたと同時に本気でやってきた分、もうダメなんじゃないかと何回も頭をよぎりました。
帰国していつもはすぐ練習をするのですが、する気が起きず、1週間ちょっとお休みしてました。もちろん柔術という競技に関わりを0にするのは難しいので、インストラクターのお仕事はやりながら、練習を休んでいました。
WORLDの申込みも中々できず、ぼーっとしていたのですが、考えて辿り着いた先が、「私にはこれしかないし、やるしかない」って思ったことです。
それからはまたWORLDに向けて、WORLDのために何がいい選択かを1番に考えて、練習も日常も過ごしてました。意識を変えたのは本当にそれだけです。目標に向けて最善の選択をするという事を常に意識してました。
――そのムンジアルでは、初戦と2回戦は完勝でした。パスガードやポジショニング、試合運びなど手応えはありましたか?
池田:初戦の最初の方は少し力みましたが、セコンドや応援してくれてる人たちの声を頼りにいつもの冷静さを取り戻して試合が運べたと思います。誰にも負けないぐらい練習をしてきたし、この日は"私の日"って心に大きく決めていたので気持ちは誰よりも強かったと思います。
初戦でも2回戦でもキツくなった時、まだ沢山試合がしたいから勝ちたいって思ったし、私がやってきた事を出せれば勝てると思っていたのでメンタル面で相手より上回ってた気がします。
正直パスが良かったのかは自分では分かりませんが、試合を見てくれていた人達が「パスが凄く良かったよ」って声をかけてくれたので技術面でも自信を持ちたいです。
――ベスト4に進出し、絶対王者=マイサ・バストス戦を迎えることになりましたが、試合前はどのようなことを考えていましたか?
池田:「絶対にここは勝つ」って1番初めに思いました。「勝ちたい」じゃなくて「勝つ」って自分に話していました。
チャンスが回ってきたら絶対ものにするって、強い気持ちでいました。

――マイサ戦では一本負けでした。どのような感想だったり、手応えだったり、課題を感じましたか?
池田:可笑しいというか、やる気あったのかよって思われるかもしれませんが、試合しながら、かけられた技に単純に「うますぎだろ」って思いました。なんかもうリスペクトしかありませんでした(笑)
ただ、作戦はセコンドと練っていたので、最初の展開は作戦通りでした。
一回目のダブルガードでルーチ1ずつもらう。二回目のダブルガードで私が立たなかったらマイサ選手は立ってくるだろうって。
私が唯一戦えるポジションは下からスクランブルで足持って立つという選択が今、一番可能性があると思ったので、どうしてもマイサ選手には立ってもらいたかったので、その作戦でいきました。
けど、その後の展開はあまりにもうますぎて、試合中なのに笑いそうになったのが本音です。バック取られてもチョークで一本になる展開だけは避けたかったし、結局形を変えられて極められてしまいましたが、今考えてもあの作戦が私にできる全てだったと思っています。
ただ、試合に臨むにあたり作戦を練って実行して失敗した。それだけの事で、また修正して次に向けて改善していくのみだと思っています。
――アジア選手権には名前がありませんでした。今年の後半戦は、どのような予定で戦っていきますか?
池田:WORLDを終えたらGi(道着)の試合は一旦置くつもりでした。
だからこそ優勝にこだわっていたし、そこまでの試合に対する熱意とかは、今まで以上だったので、今はやり切った感が大きいです。
Giの練習はしますが、今後はグラップリングに専念するつもりでいます。
ADCC優勝が次の目標で、身体作りから始めなきゃいけないので、アジアは欠場する事に決めていました。
オープン大会や予選に参戦しながら、どこかでまた修行に行きたいと思っているし、ADCCの大会だけでなく、グラップリングの試合にどんどん挑戦していきたいです。
――今後の目標と、現地や日本で応援してくれた方にメッセージがあれば教えてください。
池田:沢山の応援ありがとうございました。
3位という結果で悔しい気持ちはありますが、この日が来るまで、これ以上にない、「もうこの日を繰り返すのは絶対に嫌だ」って思うぐらい心も身体も追い込んだので、気持ちは割とスッキリしています。
Giから少し離れますが、Giを完全に0にした訳ではないので、また変わらず応援していただけたらと思います。
また今後はグラップリングに専念し、ADCCという大きな舞台にいけるよう日々努力していきます。これからもよろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。
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