圧倒的な優勝候補、10代の対抗馬、新設女子-55kg級の絶対王者 - ADCC注目選手をご紹介!!
圧倒的な優勝候補、10代の対抗馬、新設女子-55kg級の絶対王者 - ADCC注目選手をご紹介!!
ADCC=Abu Dhabi Combat Club
現地時間2024年8月17日(土)~18日(日)、アメリカ ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナでは、世界で最も権威あるグラップリングイベント「ADCC(Abu Dhabi Combat Club)」が開催される。
今年は、クレイグ・ジョーンズ率いる「CJI(Craig Jones Invitational)」が対抗イベントとして話題になっているが、CJIにはない軽量級(-66kg)など男子5階級、女子3階級でNo.1グラップラーが決定する。
本項では、各階級のトーナメント注目選手を紹介したい。
<-66kgトーナメント注目選手>
●ジエゴ・パト(Diego Pato)
CJIにある階級は男子の-80kgと+80kgのみであるため、男子-66kgの選手は、CJIに移ることがない。そのため、ADCCは-66kgの選手が豊富であり、最注目はジエゴ・パトだ。
ジエゴ・パトは前回のADCCで3位だったものの、この2年でノーギのタイトルであるWNOの66kgと70kgの2冠チャンピオンになった。
また、この2年でさまざまな強豪選手からタップを奪っており、前回のADCCチャンピオンであるジオゴ・ヘイスにも勝っている。
さらには、IBJJFのムンジアルでも優勝しており、ギあり、ギなしどちらでも圧倒的な実績を残しているのだ。
戦い方の特徴は、現代らしからぬボトムからの足関節に特化している。ファルス・リープとKガードを駆使し、ヒールフックでフィニッシュするというスキのない徹底的な戦術で、今回の-66kgの優勝候補筆頭である。
●ドリアン・オリバレス(Dorian Olivarez)
もう一人の男子-66kg、注目はドリアン・オリバレスだ。
B-Teamに所属しており、ADCC北米予選では10代ながら強豪選手をなぎ倒して優勝した。
また、コンバット柔術(CJJ)の大会では日本の高橋“SUBMISSION”雄己を極めて優勝した実績もある。
その強さの理由は、圧倒的なレスリング力と無限のスタミナ、そして極められない力である。ドリアンはレスリングでも実績を残しており、そのレスリングを活かした勢いのあるトップゲームを展開する。
トップを維持してパスのアタックを繰り返していればジャッジの評価も高まるし、ボトムの選手が一度でも気を抜けばパスされて極められる、という形である。
-66kgには他にもボトムからの極めやトップゲームが強い選手が多々いるため、ドリアンの実力がどこまで通用するか、非常に楽しみである。
<-77kgトーナメント注目選手>
●ミカ・ガウヴァオン(Mica Galvao)
男子-77kgで圧倒的な優勝候補はミカ・ガウヴァオンだ。
前回のADCCでも優勝候補と考えられていたが、決勝でケイド・ルオトロにまさかのタップ負けをした。今回は-77kgの選手がCJIとADCCに分散しているため、優勝する可能性がより一層高いと考えられる。
ミカは、ジエゴ・パト同様にギなしでも実績を残しており、IBJJFのムンジアルでも優勝している。また、WNOでは84kgのチャンピオンでもある。
特徴は圧倒的な極め力で、さらにその極めを起点にして相手を追い詰めていくスタイルにある。様々なポジションから極めを狙い、相手が逃れたらポジションを取り、最終的にはバックからRNCを極める、という確実なパターンが強みだ。
今回はどのような一本決着を見せてくれるのか、目が離せない。
<-88kgトーナメント注目選手>
●ライアン・エイトキン(Ryan Aitken)
-88kgで紹介したいのが、10th Planetアトランタ所属のライアン・エイトキンである。
これまでADCC北米予選では優勝できておらず圧倒的な実績はない。しかし、最近行われたEBI21無差別級で優勝するなど、直近の戦績が良いのだ。
EBI21の決勝では10キロ以上差があるダニエル・マナソイウにオーバータイムで勝利した他、別の試合ではADCC北米予選で優勝したジェイコブ・カウチにも競り勝っており、10th Planet所属選手として初のADCC優勝へ期待がかかる選手だ。
<-99kgトーナメント注目選手>
●ニコラス・メレガリ(Nicholas Meregali)
-99kgでの優勝候補は、ゴードン・ライアンと同じNew Wave Jiu Jitsu所属のニコラス・メレガリである。
ギありでも結果を残しており、ポイントゲームが上手で負けが少ない選手である。前回のADCCではクレイグ・ジョーンズに判定負けを喫して3位。無差別級では決勝で敗れ、2位であったものの、2023年と2024年に関しては負けが一切ない。
前回の-99kg優勝者であるカイナン・ドゥアルテは、今回のもう一人の優勝候補だが、ニコラス・メレガリは2023年にカイナンに肩固めで勝利しており、さらに実力を伸ばしているとため、圧倒的な優勝もあり得る。
<女子-55kgトーナメント注目選手>
●マイサ・バストス(Mayssa Bastos)
今回より新設された女子-55kg級において、圧倒的な優勝候補と言えるのがマイサ・バストスだ。
これまでの女子は-60kgと+60kgの2階級であり、マイサの適性体重が50kg前後だったため、前回のADCCでは結果を残せていなかった。今回は適正体重である-55kgができたため、本来の実力を発揮できるはずだ。
マイサはギありでも圧倒的な結果を残している他、先のONE FCではアトム級サブミッション・グラップリング王者に輝いている。この2年間の負けは1回のみで、その負けた相手にもリベンジに成功している。
バックテイクからのRNCが得意でポイントゲームもお手のもの。着実に勝つ力が際立っている。他に勢いがある選手もいるが、"絶対王者"マイサがどのような試合を繰り広げるのか注目したい。
<スーパーファイト注目選手>
●ゴードン・ライアン(Gordon Ryan)
前回アンドレ・ガウヴァオンに完勝し、ADCCのチャンピオンとなったゴードン・ライアンは、名実ともにグラップリング界のP4Pだ。
そのゴードンは、なんと今大会で2試合のスーパーファイトを行う。
前回無差別級で優勝したのがユーリ・シモエスなので、通例としてはユーリとの試合のみである。しかし、今回はフェリペ・ペナとの試合も追加された。
ゴードンは、過去ユーリに全勝しているが、フェリペとは1勝1敗である。昨今のゴードンは頻繁に体調に関する不安を指摘されているが、ユーリとフェリペ、2人の実力者を相手に万全な体調で試合に臨めるのか。
執筆&監修:@dmaggot666
関連リンク