後藤拓磨、壁を越えたASJJFアジアオープン制覇――18連敗の過去を断ち切り、次なる標的はアダルトのビッグタイトル
後藤拓磨、壁を越えたASJJFアジアオープン制覇――18連敗の過去を断ち切り、次なる標的はアダルトのビッグタイトル
ASJJF ASIAN OPEN 2025

ASJJFアジアオープンで見事優勝を果たした後藤拓磨(トライフォース)。
アダルトではなくマスターでの参戦ながら、決勝ではトップランカーのマテウス・ヒロトミを破る金星を挙げるなどして確かな成長を結果で示した。
仙台から上京して2年目、トライフォースで積み重ねてきた日々が結実した今大会を、本人の言葉で振り返る。

――ASJJFアジアオープン優勝おめでとうございます。今大会、2試合を戦っての率直な感想を聞かせてください。
後藤:ありがとうございます。普段はアダルトに出場しているんですが、今回は久しぶりにマスター30に出ました。相手が高橋謙人選手、マテウス・ヒロトミ選手と、プロ柔術にも出ている力強くて気持ちの強い選手だったので簡単な試合ではなかったです。トライフォースでやっている練習をなんとか活かして勝てたことが、すごく嬉しいですね。
――決勝ではASJJFランキングのトップランカーであるマテウス・ヒロトミに4-2で勝利しました。試合を振り返っていかがですか。
後藤:パスガードもサブミッションも、すべてが本当に強い選手でした。ですが、しっかり防ぐことができて、トライフォースでやっているカリキュラムが活きた試合だったと思います。ただ、次にやったらどうなるかわからないくらいの実力差なので、また次も勝てるように頑張りたいです。
――今年は1月にホブソン・タンノ選手にも勝利しています。長年勝てなかった相手でしたね。
後藤:仙台時代、紫帯の頃からずっと試合をしていて、たぶん18連敗くらいしていたと思います。今年初めて勝てて、しかもトライフォースという環境での初勝利だったので、本当に嬉しかったです。「一つ壁を越えられた」という感覚がありました。その経験があったからこそ、今回マティース選手というトップ選手にも勝てたのかなと思います。

今年の後藤は飛躍の年となった。1月には天敵ともいえるシュシャから劇的な初勝利を挙げた。

そして年末の今大会では強豪のマテウス・ヒロトミからも勝利というアップセットで優勝を果たした。
――今大会はアダリトではなくマスターでの参戦でした。アダルトとマスターの試合の違いについてはどう感じていますか?
後藤:アダルトは試合時間が10分あるので、試合の組み立てがしっかりできます。一方でマスターは6分と短く、スタートダッシュが重要になります。それぞれに戦い方があって、どちらが楽、きついということはないですね。
――来年はSJJIFではマスター36、IBJJFではマスター2の年代に入りますが、アダルトで結果を出す意味についてはどう考えてますか?
後藤:来年で36歳になりますが、その年齢でもアダルトで結果を出せるというのは、マスター世代の希望になれるかなと思っています。勝手ながら、そういう存在になれるように頑張りたいですね。
――上京して2年目、トライフォースでの練習で、どのような変化を感じていますか?
後藤:仙台時代は自分で考えながら練習していて、得意な部分は伸びるけど、苦手な部分は弱いままという偏りがありました。トライフォースでは、いろんなポジションを体系的に指導してもらえるので、ディフェンスもオフェンスも全体的に充実してきたと感じています。結果につながる試合ができるようになりました。
――そのトライフォースのカリキュラムの強みはどこにあると思いますか?
後藤:個人的には、誰でもできるという点だと思います。たとえば僕は三角が得意ですが、身体的な強さや特性によって得意・不得意は分かれますよね。でもこのカリキュラムは、力に頼らず体全体を使える効率的な動きが多くて、万人に合う。自分にもすごくフィットしています。
――2026年は上京して3年目となります。来年の目標を教えてください。
後藤:またアダルトで出たいと思っています。IBJJFのアジア選手権、JBJJF全日本、SJJIFのワールド、この3つには必ず出場したいです。まだ黒帯ではビッグタイトル獲得がないですが、選手としてのキャリアの中で必ず何か大きなタイトルを獲りたいと思っています。さらに飛躍できる一年にできるよう、しっかり頑張ります。

