前澤智コラム「前"さわ"智です」第9回『体が資本』
前澤智コラム「前"さわ"智です」第9回『体が資本』
女子柔術家・月イチコラム

今年は試合に出ていた去年と打って変わって、指導の仕事が多く舞い込んでくれて、特にMMAの指導に力が入り、自身は全く試合に出ないという1年になってしまいました。
練習量を落としたということではないのですが、公の試合は自分からも申し込まず、KITに連続参戦していた時が懐かしいです。
試合に出なきゃと思いつつも、パーソナルのお客様に加え、通常業務も増え、やりがいを感じています。
格闘技を通じて仕事ができる環境に感謝です。

しかし、やりがい、こだわり、熱意と比例し、実はここ5年ほどずっと喉の不調に悩まされていました。
去年の4月から体づくりの為に禁酒をしているのですが、酒焼けのような、常にハスキーでガラガラしている。高い声を出そうとするとかすれてしまうので、急に虫が出てきても「きゃー!!」という声が出ない、出せない。
心当たりとしては、コロナ禍の後すぐ、溶連菌の風邪をひき咳が一日中止まらなかったり、女性会員様のチョークを受け続けた時期に、耳鼻科に行ったら喉が内出血したことがあり、その名残かなと安易に考えていました。
帰省の際、柔道部の旧友とご飯を食べに行き、大笑いした次の日に声が全く出なくなりました。
いよいよ、このままでは仕事に支障が出てしまうと思い、近所の耳鼻咽喉科へ相談に行ったら「ポリープの可能性があるので、大学病院の紹介状書きます」と言われ、マジか…となったのが8/25でした。

内視鏡で見たらどうやら悪性でもなく、そもそもポリープでもなく『声帯結節』というもの。
喉の酷使で、声を出すたびに本来閉じなければいけない部分に腫瘤(しゅりゅう)が出来て、声帯の振動を邪魔している症状だそう。
学校の先生や、歌手、芸人さんなどがよくなるんだそうです。
手術で削ると数週間から、数ヶ月声を出すことに制限がかかると言われ、現在は言語聴覚士の先生に指導を受け、発声や呼吸法を含め、2週間に1回のペースでリハビリに行っております。
するか、しないかはさておいて、声の出し方を工夫することで、だいぶ喉の調子をコントロールすることができるようになりました。

精密検査をする前、一瞬でも喋れなくなるかもしれない、命に関わるかも知れない、そういうマイナスなことばかりがよぎって、怖くなりました。
いつ死んでもいいように後悔なく生きているつもりでしたが、まだまだ生きてやりたいことがあるんだなと。格闘技を通じて知り合った皆さんとまだまだ一緒にいたいと思いました。
お喋りが好きなのでしんどい時もありますが、長く指導を続けていく為に、自分の健康に配慮をすることを学んだ1987年生まれなのでした。

前澤智(まえさわ・とも)
リバーサルジム東京スタンドアウト所属
