前澤智コラム「前"さわ"智です」第6回「FLOW KIDS PARK 7 in 盛岡」
前澤智コラム「前"さわ"智です」第6回「FLOW KIDS PARK 7 in 盛岡」
女子柔術家・月イチコラム

6/29、岩手県盛岡市で行われたキッズの大会にゲストで呼んでいただきました。
大会名は「FLOW KIDS PARK 7」です。
呼んでくださったのは、「KIT10」で道着スポンサーをしてくださった岩手県宮古市にある『ナナ動物病院』の院長の戸来裕之さん。
ご本人も格闘技をされていて、パラエストラ八戸時代に、一緒に地元青森で行われたMMAの大会にも出場したことがあります。
KIT出場の際に着ている、ちょもタイダイカラー道着を作ってくれた張本人でもあります。
「FLOW KIDS PARK7」略してFKP7は、仙台、宮古、秋田でジムを展開している佐々木大成さんのジム「FLOW Jiu Jitsu」で行われたキッズ大会です。

キッズvsキッズの試合、中には大人vsキッズ、インストラクター対決エキシなど盛りだくさんの内容で総試合18試合。
「ブラジリアン柔術を通してキッズが頑張っている姿を、ご家族に見てもらえるように」
「相手はもちろん、自分に負けない自分を見てもらえる発表会のような大会を」
そんなコンセプトの今大会ですが、驚いたのが演出のクオリティ。
入場曲あり、コールあり、実況あり!
ゴツい格闘家入場曲が流れ、控室からキッズ達が思い思いのタイミング、仮装で颯爽と現れるのですが、中には小さい小さいキッズがよちよち歩いてきて、通り名が『不沈艦』とか『(兄弟)ケンカ400戦無敗!』とかギャップがありすぎて笑いすぎてしまいました(笑)。
どの試合も激闘で、全力で、ご家族や、インストラクターの皆さん胸熱だったと思います。
テクニックがすごく確立されてるファイターもいて、もうそんなに必殺技や決まり技を携えているのかと本当に感動しました。
私の試合相手は戸来さんの娘さんの「ヒロカ・グレイシー」ちゃん。
同じタイダイ柄で派手派手道着で対決しました。

途中私の帯が解けてしまったのですが、ヒロカちゃんが私にデラヒーバガードを仕掛けている最中に「黒帯っ!??」と叫んだのが、会場中の笑いを誘い、本当に和みました。
黒帯の女子選手を見たのが初めてだったそうで、それまで緊張していたんだと思いますが、試合の途中で急に自分の中に現実として入ってきたんだと思います。
試合あとは「憧れの選手です」とお手紙を頂きました。可愛いスヌーピーの絵が添えられてました。


昔、私が仙台で初めて柔術の公式戦に出た時に、岩崎正寛選手(CARPE DIEM ASHIYA)とホベルト・サトシ・ソウザ選手(ボンサイ柔術)がエキシビジョンをしてくださったことがあり、黒帯の選手を初めて見たこと、お二人の動きが凄すぎて目が回ったことを思い出しました。
紫帯時代、湯浅選手と試合をして階級別では右肘、無差別では左肘を伸ばされたことも思い出しました(笑)。

大会あとは合同練習会があり、東北の女性柔術家の皆さんや試合あとのキッズたちとたくさんスパーをさせていただきました。
前回のコラムでも話したのですが、女性が女性とスパーできる機会は本当に貴重です。
東北では尚更、ひとジムに複数女性がいること自体奇跡!という現実です。
それでも、私が青森にいた時よりもジムが増えて、キッズも女性会員さんもいて、先日FLOW Jiu Jitsu所属の女性選手が優勝(佐々木未羽さん)し、日本一になったりとか、ブラジリアン柔術の人気の高さを実感です。

たくさんは会えない皆さんと、少しでも前澤智という人間を知ってもらえたらいいなと思い、一生懸命スパーさせて頂きました。
キッズの習い事の選択肢の一つに「柔術」があるなんて。
私はいつからでもスタートできるのが柔術だと思っているので「早くやっていればよかった」とは思わないですが、
やはり早くやっているのに越したことはないとも思うので、今、そういう環境づくりをしている大人たちの努力と地域貢献に頭が下がる思いです。
『なにか』をスタートさせるのは実はちょっとの勇気だけ。もっと難しいのが『続けること』
子どもたちを見て思い出しました。
私が格闘技を続けてこられたのは誰よりも小さかったから、そして、負けず嫌いだったから。
格闘技は自分の強いところに出会わせてくれるし、弱いところに向き合わせてくれて、そのご褒美に弱さを武器に変えてくれます。
今回ゲストで呼んで頂き、実際に私の小ささ(笑)を体験してもらえた皆さんへ、恐縮ながら「前澤と戦ったことある」とか「試合生で見た」など、今回の試合や、みんなとのスパーが、そんなお守りのような思い出になってくれたらとても幸せです。
これから、あのキッズ達が大きくなり、スターになっていくのをずっと応援します。

前澤智(まえさわ・とも)リバーサルジム東京スタンドアウト所属