IBJJFワールドノーギ2025――ラスベガスで刻まれた衝撃と新時代の幕開け
IBJJFワールドノーギ2025――ラスベガスで刻まれた衝撃と新時代の幕開け
Flograppling

IBJJFワールドノーギ2025がネバダ州ラスベガスのコンベンションセンターで開催され、今年屈指のエキサイティングなノーギの戦いが繰り広げられた。
大番狂わせ、サブミッションの嵐、そして世界の舞台で台頭する新たなスターたち。本大会は、まさに“すべてが詰まった”大会だった。
ここでは、黒帯決勝戦を中心に、今大会を象徴する主要トピックを振り返る。

エリザベス・クレイ:週末最大の勝者
いまノーギ柔術シーンはリス・クレイの時代にある。今大会は長く語り継がれるであろう週末となった。リス・クレイは黒帯で2階級制覇を達成しただけでなく、全8試合すべてを一本勝ち。さらに、PFP(パウンド・フォー・パウンド)世界1位に君臨する“世代を代表する才能”ガヴィ・ペッサーニャをヒールフックで極めてみせた。事前の下馬評で、彼女の勝利を予想する声は多くなかった。両者は過去にも対戦しており、その時はリスにとって苦い結果だったからだ。しかし、この日は違った。自身の階級、そしてアブソルートを制圧したリスは、一切の迷いを捨て、リスクを恐れずに攻め続けた。試合開始直後から、ガヴィの脚に狙いを定め、執拗かつ精密なアタックを展開。幾度もの連続攻撃の末、ついにタップを奪い、柔術シーンに衝撃を与えた。わずか24時間前までペッサーニャを極めることは“不可能”とさえ思われていた。だが、リス・クレイはそれを「必然」に変えてみせた。

ルーズベルト・ソウザ:ダブルゴールドの完全支配
ルーズベルト・ソウザにとっても、歴史的な週末となった。彼は階級別とアブソルートの両方で一本勝ちによる優勝を達成し、現代柔術界における“完成度の高さ”を改めて証明した。ウルトラヘビー決勝では、ガードから完璧なスイープを決め、ヘイッキ・ユッシラのバックを奪取。そこから冷静に絞め落とした。アブソルート決勝の相手はエルダー・クルス。接戦となったが、結末は同じだった。バックを制し、フィニッシュを奪取。王者の座を揺るぎないものとした。この結果、ルーズベルトは2025年においてギとノーギの両世界王者に輝いた唯一の男子選手となり、比類なき万能性と支配力をその名とともに刻み込んだ。
欧州勢が存在感を誇示
今大会では、ヨーロッパ勢の躍進も大きなトピックとなった。パヴェウ・ヤヴォルスキ、シェイ・モンタギュー、タリク・ホップストックらが際立った活躍を見せ、特にモンタギューは“スコットランド人として初のIBJJF黒帯世界王者”という歴史的快挙を成し遂げた。ヨーロッパからの“侵攻”は、もはや一過性のものではない。彼らは世界最高峰の舞台で、確かな地位を築き始めている。

パヴェウ・ヤヴォルスキ

シェイ・モンタギュー

タリク・ホップストック
■その他の注目パフォーマンス

アデレ・フォルナリーノが、アナ・マヨルドモを相手に開始16秒でアンクルロック一本勝ち

リリアン・マルシャンが、アマンダ・ブルースをRNCで下しライト級優勝

ヘレナ・クレバーがミディアムヘビー級でRNC勝利、黒帯初の世界タイトルを獲得

カッシア・モウラがニア・ブラックマンを6-0で制し、黒帯ノーギ世界王者2度目の戴冠
■新星たちの台頭とブレイクスルー

コール・アバテは、巧みなガードトランジションと鋭いサブミッションで存在感を発揮

ニコ・マグリシッチは、圧倒的なポジショナルコントロールと連続攻撃でトップコンテンダーとして名乗り

ハビエル・バルテールは、止まることのないプレッシャーと精度の高い技術で大金星を挙げた
IBJJFワールドノーギ2025はサブミッション至上主義、新世代の台頭、そして国際化が加速する柔術界の“現在地”を鮮明に映し出した大会だった。
リス・クレイ、ガビ・ペサーニャ、ルーズベルト・ソウザ、コール・アバテ、ニコ・マグリシッチ、ハビエル・バルテール、そして欧州勢――。
彼らの活躍が示す通り、ノーギ柔術の未来は、明るく、そして熾烈である。

