トライフォース・早川光由代表に訊く「WORLD 2025」振り返り(第3回)
トライフォース・早川光由代表に訊く「WORLD 2025」振り返り(第3回)
Special Interview

5月29日~6月1日までの4日間、アメリカ・ロサンゼルスでは、IBJJF「World Jiu-Jitsu Championship 2025」(ムンジアル)が開催された。
今年は、石黒翔也や池田海南江といった黒帯日本人選手のメダル獲得という嬉しいニュースもあったが、色帯も含めれば日本人選手にとっての「ムンジアル」はまだまだ高い壁があると言えよう。
そんな折、選手に帯同し、現地でムンジアルを観てきたトライフォース柔術アカデミー代表・早川光由氏は、今大会をどのように感じたのか――。
去年に引き続き、早川代表に大会の振り返りを訊くことができた。
全3回のインタビュー最終回だ。
――そして、今回の結果を踏まえて、例えば道場単位ではなくて、道場の垣根を超えて、日本全体で練習をするといったことなどは必要だと思いますか?
早川:私が現役の頃は、そういった雰囲気はありました。どんな競技でも世界大会は国を代表して戦う。しかし私たちも途中で理解したのですが、柔術の世界では、国別では無くてアカデミー対抗戦であると。
――はい。
早川:それまでそれがあんまり理解していない時は、それこそ中井祐樹先生と遠征に行った時はチームの垣根を超えて一緒に活動してましたし、もちろん練習も「昼柔術」などの練習会では、日本のトップ選手がほぼ全員集まってました。
――良い時代はありましたね。
早川:はい。でもそれが今再現するのは難しいですし、懐かしんでいてもしょうがない。それぞれのアカデミーの考えもありますし、チームジャパンを作って全員で練習することを、みんなが望んでいるとも限らないです。
――それが正しいかどうかもわかりませんよね。
早川:実際アメリカでは、アカデミーで育てて、お互い技術を伸ばして試合で戦って競いあう。それがそれぞれにフィードバックされていく。そのスタイルが競技を向上させていったのかも知れない。
――競技人口に違いもあります。
早川:日本でも昔よりは桁違いに増えましたけど、全日本選手権など大きな大会だと、当たるメンツも限られてきますし、普段から一緒に練習していこうと落とし込むのは難しいかも知れませんね。
――道場の規模によっても違いますね。
早川:今現状で私ができることは、トライフォースの環境で選手を強くすること。これを最優先に考えていくことですね。
――日本人が今後勝っていくためにはどのような取り組みが必要だと思いますか?
早川:とりあえずトライフォースとして取り組んでいることは間違ってないと思っております。このまま継続して問題ない。
――海外修行とはどうお考えですか?
早川:海外修行は、選手が行くべきと思えば行くと良いですし、私としては、自分のアカデミーでやるべきことをやり、世界王者を作ることを考えるのみです。
――外国人に慣れることは必要ですか?
早川:それは絶対必要ですね、その場数は定期的に踏んだ方が良いと思います。年に一回の世界大会だけだと、会場の空気感含めて呑まれることもあるかと。
――幸いにも日本では、アジア選手権もありますしね。
早川:アジア選手権も積極的に参加するべきだし、海外の大会にも定期的に出場することは必要ですね。外国人特有の当たりの強さなども体感するのは大事ですね。
――アジア選手権のレベルも上がってきてます。
早川:参加メンバーを見ても、そこで勝つだけでも至難になってきてます。黒帯としての最終ゴールに掲げても良い大会になってきたと思います。
――では、今回のWORLDで一番印象に残った選手は誰ですか?
早川:個人的には、さっきいったメイハン選手の躍動感が印象に残りました。昔でいうとレオジーニョみたいでした。
――それでは最後に、来年のWORLDに向けて、トライフォースとして、早川先生としてどう動いていきますか?
早川:さっきも話ましたが、今までやってきてることを継続してやっていけば良いかなと思っております。フィジカルトレーニングに関しては、選手達は各自で知識もありますし、その為の予算は出しますが、各自で管理していってもらいます。
――技術的には?
早川:技術に関しては手取り足取り教えていくわけではないんですが、週一ですが、私が仕切ってる練習会は今後も継続していきます。
例えば、トライフォース新宿での選手練もありますが、電話が来たり、エアコンの点検にきましたとか業者がきたりとか(笑)、芝本が100%集中できることがない。
しかし私が仕切ってる限りは、参加してる選手は何も考えずに、私が指示するドリル、そしてスパーリングをやることができる。そのメリットが大きいと思ってます。澤田に関しては「大阪でがんばれ」としか言うことはないです(笑)
――今回もありがとうございました!来年もよろしくお願いします。
早川:またよろしくお願いします!
<完>