
俳優として数々の作品に出演しながら、ブラジリアン柔術にも打ち込む水野勝 。
柔術を始めたきっかけは、「アクションをリアルに表現したい」という思いだった。
打撃とは違い、ごまかしの効かないグラップリングの動き。だからこそ水野は、柔術を“俳優としての準備”の一つとして積み重ねている。
俳優業と柔術に共通する「準備」の大切さ、そして柔術が自身にもたらした変化について話を聞いた。
(聞き手・文 = 濱田しいな)

――柔術を始めたきっかけと、最初に感じた魅力は何でしたか?
水野:役者として活動する中で、アクションに対応できるようになりたいと思い、25歳のときにシュートボクシングを始めました。そこから約6年間通っていました。
ただ、日本の作品では警察官や警護役など、“相手を制圧する動き”が求められることが多く、打撃よりもグラップリングの要素が重要になると感じたんです。そこで柔術に興味を持ちました。
映像作品ではスタントマンの方が動きをつけてくれますが、パンチのような打撃はある程度“それっぽく”見せることができても、グラップリングは実際にやっていないと分からない部分が多い。細かな手の位置や身体の使い方は、経験者が見ればすぐに分かってしまいます。
マウントや袈裟固めひとつとっても、理解しているかどうかで全く違う。だからこそ、きちんと学びたいと思いました。
今では趣味としても楽しんでいますが、ベースにあるのは“アクションに活かしたい”という学びの気持ちです。試合での強さを追い求めるというより、正しい形を丁寧に身につけていきたいと考えています。
同時に、柔術が持つ「生涯スポーツ」という側面にも魅力を感じています。年齢や性別に関係なく続けられて、やった分だけ成長できる。帯制度も含めて、ここまで良い要素が揃った格闘技は他にないと思います。
――続けられている理由は何ですか?
水野:やった分だけ確実に成長につながるところですね。帯やストライプによって、その成長が可視化されるのも面白いです。
また、自分よりフィジカルが劣る相手に技術でやられてしまうこともあるし、逆に体格差があっても勝てる可能性がある。他の競技ではなかなかない感覚で、とても魅力的だと感じています。
――俳優業で忙しい中でも柔術を続けている理由は何ですか?
水野:やはりアクションに繋げたいという思いが大きいです。
俳優という仕事は、常に準備しておくことが大切だと思っています。急に戦う役がきたときに、すぐに対応できるようにしておく。そのために、自分の中で“武器になるもの”を持っておきたい。
柔術は短期間で身につくものではないので、日々継続して積み重ねておくことが重要だと感じています。
――俳優業と柔術、それぞれに共通する部分や良い影響はありますか?
水野:「準備の大切さ」は共通していると思います。
柔術は“ボディチェス”とも言われるように、相手の動きに応じて瞬時に対応する競技です。そのためには、あらかじめ多くのパターンを準備しておく必要がある。
俳優業も同じで、役が決まってからの準備期間が非常に重要です。セリフを繰り返し練習したり、役作りを深めたりする。
柔術でいう打ち込みのように、“無意識に出るまで繰り返す”という部分は、どちらにも通じていると感じます。
――試合前や撮影前、きつい練習のときはどのようにメンタルを保っていますか?
水野:緊張を無理に消そうとはせず、「緊張している自分」を受け入れるようにしています。プレッシャーもしっかり背負う。
周りから見ると大変そうに見えるかもしれませんが、自分にとっては好きなことなので、その分頑張れるんだと思います。
――今後、柔術を通して挑戦していきたいことや目標は?
水野:大会への出場はスケジュール的に調整が難しい部分もありますが、まずは年内に青帯を取得することが目標です。
――格闘技の経験は、今後の俳優業にどのような影響を与えると思いますか?
水野:不安を感じるとき、以前はサウナに行ってリフレッシュしていましたが、それでも考え続けてしまうことがありました。
でも柔術をしている時間は、他のことを一切考えなくていい。いわば“脳のデトックス”のような時間になっています。
――ファンの方や、これから柔術を始める人にメッセージをお願いします。
水野:絶対にやった方がいいです。
柔術は年齢や性別に関係なく、安全に楽しめるスポーツですし、カテゴリー分けも細かくされているので公平性も高い。
そして何より、やった分だけ確実に強くなれる。その成長がやりがいにつながって、とても楽しいです。
身体を動かすことはもちろん、メンタル面にも良い影響があるので、本当にいいことしかないと思います。ぜひ一度体験してみてください。
――最後に、水野さんが出演されている、映画『お終活3幸春!人生メモリーズ』が5月29日に公開となります。どのような作品ですか?
水野:シリーズ第三弾となる今作ですが、この3から入っていただいても楽しめる内容になってます。
家族との思い出は、大人になると仕事のことや新しい環境などで忘れてしまいがちですが、心はちゃんと覚えています。
かけがえのない時間を思い出すキッカケにもなる作品です。
明るくポップでグッと来る内容なので、是非スクリーンでご覧ください。
水野勝 プロフィール
愛知県名古屋市出身。
2010年から芸能活動を開始。
バラエティ、ドラマ、映画などに出演。
映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』(21)では主演。
現在は俳優を中心に活動し、近年の出演作は、ドラマ『アンチヒーロー』(24/TBS)、『相棒24』(25/テレ朝)、映画『お終活3 幸春!人生メモリーズ』(26)、 『Piccola felicita〜小さなしあわせ〜』(26)など。
2026年8月にはリーディング・怪読劇『怪談の語り場』に出演予定。
5月29日には、映画『お終活3幸春!人生メモリーズ』が公開となる
