
ブラジリアン柔術の世界大会「ムンジアル2026」を前に、このムンジアルに出場する日本人選手を帯色と階級別に徹底分析した見どころ紹介企画として「BJJ-WAVE」の要約版をお届けする。
番組は冒頭で、大会参加に伴う高額な渡航費や宿泊費、さらに現地での取材体制といった“ムンジアル遠征のリアル”からスタート。近年の円安や航空券価格の高騰により、世界大会挑戦のハードルが大きく上がっている現状についても触れられた。
その上で、黒帯、茶帯、紫帯、青帯の各カテゴリーごとに、日本人注目選手をピックアップ。過去の主要大会での実績や海外勢との比較、組み手の特徴、近況の戦績などを踏まえながら、優勝候補や上位進出の可能性を詳細に分析している。
黒帯では世界トップとの差や現在の勢力図、日本勢がメダル戦線へ食い込む可能性を検証。茶帯以下のカテゴリーでは、今後の日本柔術界を担う次世代選手たちにスポットを当て、帯色ごとの“世界との差”や注目マッチアップについても深掘りした。
また、帯色別の有望株だけでなく、アメリカ開催特有の環境、計量やトーナメント進行、現地コンディションなど、実際に長年ムンジアルを取材してきた経験をもとにしたリアルな視点も語られている。
出演はJiu Jitsu NERDの橋本欽也と、石井道場代表の石井基善だ。長年国内外の柔術シーンを見続けてきた両者ならではの視点で、ムンジアル2026の日本勢を徹底展望している。
■ムンジアル出場の背景:参加規模、費用、そしてメディア取材の現状
今年のムンジアルにおける日本人出場者数は51名と報告された。この数字について、黒帯の層が厚くなった近年の状況を鑑みると多い方だという見方がある一方、過去にはもっと多かったという意見も。特に、カウントされていないマスターインターナショナルの選手を含めれば、実際の参加者数はさらに増える見込みだ。
大会参加の大きな障壁となっているのが、急騰する費用である。近年は円安の影響が著しく、渡航費、ホテル代、現地滞在費を合わせると総額で約35万円に達する。これは、かつて渡航費が6万円台、総費用が15万円程度で済んだ時代と比較すると倍以上の負担であり、選手やメディアにとって深刻な問題となっている。
この経済的負担はメディアの取材体制にも影響を及ぼしている。長年、橋本氏と同行取材してきた成田敏史氏が、今回は不参加を決定。これは、レポート執筆などで得られる数万円の収入では高額な経費を賄えず、採算が合わないことが大きな理由と思われる。
結果として、橋本氏は単独で現地取材を行う「ソロ活動」を余儀なくされ、50名を超える全選手の動向を一人で追うことに不安を吐露した。一方で、これまで成田氏が運転していたレンタカーでの移動の代わりにUberを利用するなど、金銭で解決できる問題は受け入れつつ、毎年利用している定宿を変えないなど、取材のルーティンを維持する方針を示した。この過酷な取材を乗り切るため、各選手の出場時間やマットを事前にリスト化し、予習として万全の準備を整えるとしている。

■黒帯部門の注目選手と階級別展望
最高峰の黒帯部門には、男女合わせて11名の日本人選手が出場する。各階級で注目選手がひしめき、激戦が予想される。
●ルースター級: 若手の実力者・高杉魁、アダルト最終盤の追い込みを見せるベテラン・芝本幸司、そして練習での強さに定評がある新婚の篠田光宏という、異なる背景を持つ3選手が出場。国内での実績では高杉が一歩リードする中、三者三様の戦いぶりに注目が集まる。
●ライトフェザー級: 今大会最大の注目株である石黒翔也が出場。ヨーロピアン、パンナム、ブラジレイロの主要3大会全てで表彰台に上がる圧倒的な実力を誇り、若手選手にとっては「石黒を倒せば表彰台」というほどの存在となっている。ヘリソン・ガブリエル、ジエゴ・パトと並ぶ「3強」の一角として、グランドスラム達成への期待がかかる。同じ階級には、岡泉海、グスタボ・オガワといった強豪も名を連ね、この牙城にどう食い込むかが見どころとなる。
●フェザー級: マスター世代のベテラン、嶋田裕太がハワイから参戦。日本帰国を控えており、ポイントを稼ぐのが難しくなる今後のキャリアを考えると、今大会が「ラストラン」に近い覚悟で臨む可能性がある。
●ミディアムヘビー級&ヘビー級: 日本人離れした階級では、日本最強との呼び声も高いグラント・ボグダノフ(ミディアムヘビー級)が出場。ヘビー級では、CARPE DIEMで共に練習を積む田中大成とシャビル・シウバが世界の強豪に挑む。特に田中はアジア以降、久々のメジャー大会出場となる。
●女子部門: 色帯からのライバルである竹浦遥希(ルースター級)とミレーナ・サクモト(ライトフェザー級)が出場。昨年、池田海南江が表彰台に上がったルースター級は今年も激戦区であり、マイサ・バストスをはじめとする世界のトップ選手がひしめく。日本の女子軽量級を牽引する二人が、この群雄割拠のトーナメントでどのような戦いを見せるか、大きな期待が寄せられている。

■茶帯部門の注目選手と階級別展望
黒帯昇格への最終関門である茶帯部門も、才能豊かな日本人選手が多数出場する。
●ライトフェザー級: キッズ時代からトップ戦線で活躍してきた高橋逸樹、大野智輝、川頭昊士の3名が揃い踏みする、今大会屈指の激戦区。ポイント等の制約なしで海外メジャー大会に揃って出場できるのは、今回が最後になる可能性が高く、彼らの集大成ともいえる戦いが期待される。
●フェザー級: 全ての大会で勝ち続けるなど、茶帯トップの実績を誇る永尾澪が国内選手の中では優勝候補の筆頭。また、減量苦を乗り越えて同階級に挑む熊田堅信の戦いも見逃せない。
●ライト級: 海外修行を経て大きな飛躍が期待される滝川暁が出場。これまでビッグタイトルにあと一歩届かずにいるが、そのポテンシャルが開花するかが注目される。父親も現地で応援する予定だという。
●ミディアムヘビー級: ATOS所属のカウアン・タニノとケンゾー・カラカワ、そしてアメリカのチェックマットで修行中の白坂奏がエントリー。特にカウアンは茶帯3年目となり、悲願の優勝を目指す。
●女子部門: ルースター級では、海外経験も豊富でアジア2連覇の実績を持つ田中美香が出場し、軽量級の伝統を繋ぐ活躍が期待される。ライトフェザー級では、昨年強敵に敗れた須田萌里が、その相手が黒帯に上がったことで優勝の好機を迎えており、表彰台に絡む活躍が望まれる。

■紫帯の注目選手と階級別展望
将来の柔術界を担う若き才能が、紫帯・青帯部門から世界に挑む。
●ジュブナイル2紫帯
エンゾ・イマザト(ジョブナイル2フェザー級): 今大会最大の注目選手の一人。ヨーロピアン、パンナム、ブラジレイロをジュブナイル2紫帯で制覇しており、ムンジアルで優勝すればIBJJFグランドスラム大会制覇という偉業を達成する。昨年は青帯で3位だったが、もし今回優勝すれば茶帯に昇格し、10代でアダルト茶帯のトップ戦線に挑む道が開かれる。
●その他注目選手: ルースター級の鈴木瑛騎、ジュニオール・ナガセ、フェザー級の木村鯉斗、ライト級の山本空良、ミドル級の渡辺リオンなど、各階級に実力者が揃う。
●女子アダルト: ニコリー(フェザー級)と柳朝海(ミディアムヘビー級)のトップ選手も出場。特に柳は昨年3位入賞しており、さらなる上位進出を目指す。

■青帯部門の注目選手と階級別展望
●ジュブナイル世代の躍進: 国内外の大会で既に圧倒的な強さを見せている新星が多数出場。アジア王者の岩沢新(ジュブナイル1)、エンゾのライバル須田雄律(ジュブナイル2ライトフェザー)、柔術甲子園2連覇の尾崎裕次郎(同フェザー)、その尾崎に勝利経験のあるアーロン安齋(同ライト)など、次世代のスター候補たちが世界一の座を狙う。
●レティシア・ヒラノ(女子ジュブナイル2ライトフェザー): 先日行われたASJJFの大会では3日間で12個のメダルを獲得(ギ&ノーギでそれぞれWゴールド×3大会)するなど、今最も勢いに乗る選手の一人。昨年のムンジアルでは反則負けを喫した雪辱を晴らし、頂点に立つことができるか期待される。

■大会全体の注目点とメディア展開
日本人選手以外にも、今大会は見どころが豊富だ。ジムの内部問題で揺れたATOSやBJJカレッジといった有力チームの選手たちがどのようなパフォーマンスを見せるか、またチーム移籍が勢力図にどう影響するかが注目される。特に色帯時代のムンジアル王者であるガブリエル・マッコンビがATOSを離れ新チームから出場するなど、大きな変化が起きている。また日本にルーツを持つ強豪、ジャクソン・ナガイとサムエル・ナガイのナガイ兄弟も同じ階級にエントリーしたことや、AOJに移籍したアンディ・ムラサキの戦いぶりも見逃せない。メディア展開として、橋本氏は大会期間中に「BJJ-WAVE」「ブラジルブログ」「Jiu Jitsu NERD」の3媒体で情報を発信する。また、大会最終日の終了直後にはロサンゼルスにて現地に滞在している濱田しいな氏をゲストに招き、ムンジアル総括をお題にした「BJJ-WAVE」の収録を行うことが予定されている。これにより大会の熱気冷めやらぬ中での速報と詳細なレポートが届けられることだろう。今大会の模様は、Flograpplingを通じてライブ配信され、日本とのロサンゼルスの時差は16時間となっている。

IBJJFムンジアル2026
日程:5/28-31
会場:LBSファイナンシャルクレジットユニオン・ピラミッド
■大会詳細はコチラから!