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リダ・ハイサム、ADCC 3度目の出場で感じた本戦の壁「みんな本気だし、簡単なラウンドはない」

9月12~13日、ポーランドのクラクフで開催された「ADCC 2026」に出場し、3大会連続で本戦出場を果たしたリダ・ハイサム。

過去2大会はインビテーションでの出場だったが、今大会ではヨーロピアントライアルを勝ち抜き、自身の力で本戦出場権を獲得した。

114kgまで身体を大きくし、現在はドバイを拠点にグラップリングを中心とした活動を続けているハイサム。ADCCを終えた直後の心境から、ドバイでの練習環境、今後のキャリアまでを聞いた。

──ADCCの試合、お疲れさまでした。今の気持ちを教えてください。

ハイサム:ありがとうございます。本当に今日は残念です。勝てると思った試合でしたし、最後の最後まで自分が勝っていたと思っています。最後にテイクダウンを取りにいったところで、相手にギロチンを取られてしまって、それで終わってしまいました。本当に悔しいです。

──ギロチンに入られたときも、かなり耐えていたように見えました。逃げ切れそうな感覚はあったんですか?

ハイサム:最初は逃げられると思っていました。でも、逃げようとしたところで、かなりタイトに入ってしまいました。残り40秒くらいでしたし、15分間戦っていたので、最後は少し疲れていたんだと思います。それも原因だったと思います。もう一度試合を見直して、勉強するしかないですね。本当に悔しいです。今回はもう少し先まで行けると思っていました。

──今回で3大会連続のADCC出場となりました。3回目の出場に向けて、どんな気持ちで準備してきたのでしょうか?

ハイサム:1回目、2回目に比べると、今回はかなりリラックスしていました。やっぱり経験があるので「今回は行ける」と思っていたんです。過去2大会では1回戦を勝っているので、今回も1回戦は絶対に負けないという気持ちがありました。ただ、今回は1回戦を突破して、その先まで行きたかったので、そこは悔しいです。

──今大会にはヨーロピアントライアルを勝ち抜いて本戦出場を決めました。これまでインビテーションで出場してきたのとは違う部分もあったと思います。

ハイサム:そうですね。今回はインビテーションをもらえるかどうか分からなかったので、マネージメントに任せるのは絶対に嫌だったんです。自分でトライアルに出て、勝てば自分の力で本戦に出られる。そうしたかったので、トライアルに勝てたことは良かったです。だからこそ、本戦でこういう結果になったのは申し訳ないという気持ちもあります。でも、トライアルに勝って本戦に出られたこと自体は、本当に良かったと思っています。

──ハイサム選手はガーナ出身ですが、トライアルはヨーロッパ大会に出場する形になるんですね。

ハイサム:アフリカだけではまだトライアルを開催できる状況ではありません。アフリカでは柔術をやっている人自体がまだ少ないので、アフリカのパスポートを持っている選手はヨーロッパのトライアルに出場する形になります。

──そのヨーロッパトライアルを勝ち抜いて、本戦で戦いました。トライアルと本戦では、どんな違いを感じましたか?

ハイサム:やっぱりレベルが全然違いますね。トライアルでは、自分が出ていたらみんな実績的に「自分が勝つ」と思っているのが当たり前だったと思います。でも本戦は、みんなが本気です。みんなプロですし、簡単なラウンドはありません。やっぱりレベルが全然違いました。

──今大会は+99kg級に出場しました。前回も+99kg級でしたが、現在の体重はどのくらいですか?

ハイサム:昨日測ったら114kgでした。

──見た目も大きくなっているし、かなりフィジカルもパワーアップしていますね。

ハイサム:パワーアップしていましたし、1回戦の相手に対しても、フィジカルで全然負けていなかったと思います。ずっと自分のペースを守れていました。だからこそ、最後の最後でああいう形になってしまったのが悔しいですね。

──現在は拠点を中東のドバイに移しているそうですが、どんな練習環境なのでしょうか?

ハイサム:1年半くらい前にドバイに引っ越しました。アメリカと比べると、全体的なレベルはまだ少し低いと思います。でも、レスリングはかなりレベルが高いです。ウズベキスタンやロシア、イランなど、レスリングが強い国の人たちが結構います。なので、ADCCに向けてはかなり良いトレーニング環境がありました。

ただ、全体的にはまだギ(道着)が多くて、ノーギはそれほど盛り上がっていません。だから、自分も少しずつノーギを盛り上げていきたいと思っています。今の契約はあと1年くらいなので、その後どうするかは考えているところです。

──現在はドバイのグラップリングシーンを盛り上げることも意識しているんですね。

ハイサム:そうですね。ドバイではワールドプロやアブダビの大会が昔から盛り上がっています。自分も昔からよくドバイに行っていました。ただ、今でもやっぱりギの大会が多くて、ギのほうが盛り上がっています。

一方で、最近はノーギも少しずつ盛り上がってきています。自分が今いるトリプルというジムでは、チームのヘッドコーチがいろいろな選手を呼んだりしています。この間もクインテットがドバイに来ましたし、少しずつノーギを盛り上げようという動きがあります。自分がドバイにいつまでいるかは分かりませんが、今後、自分にとって一番いい環境がどこなのかを考えて、次のことを決めたいと思っています。とりあえず、あと1年はドバイにいる予定です。

──ドバイに行くきっかけは、いわゆるヘッドハンティングのような形だったのでしょうか?

ハイサム:そうです。知り合いの知り合いがドバイで道場を出すという話をしていて、インストラクターとして指導できる人を探していました。自分がインストラクターとしてもらえる給料が、アメリカでの収入と比べても良かったので、「それなら2年くらいやってみようかな」と思って行きました。

──あと1年はドバイにいて、その後はまた考えるということですね。

ハイサム:はい。今も考えています。日本にも戻りたいと思っていますし、アメリカでもいいと思っています。やっぱりアメリカのほうが、いろいろな試合に出られるチャンスがあります。UFC BJJなども盛り上がってきていますし、そういう環境にも興味があります。

一方で、最近のイランとアメリカの問題など、いろいろな事情もあって、人の移動が難しくなることもあります。そういうことも考えながら、次のチャンスがどこから来るか分からないので、オープンマインドで待っています。

──ドバイは待遇面もかなり良いのでしょうか?

ハイサム:ドバイではジムにお金を使う人が多いので、待遇はいいと思います。選手としてプロになりたい人にとっても、ドバイにはPRIMEやアブダビなど、いろいろな環境があります。これからどれくらいグラップリングシーンが盛り上がっていくのか、自分も楽しみにしています。

──今はもう、ほとんどグラップリング中心で、ギはあまりやっていないのでしょうか?

ハイサム:そうですね、基本的にはノーギばかりです。たまにギを着てクラスを教えることはあります。ギの先生がバケーションなどでいないときに、代わりに教えることもあります。自分がギの試合に出ることは、たぶんもうないと思います。今はノーギのほうが試合のチャンスが多いので、そちらに集中しています。ギも好きなんですけどね…。

──現在33歳ということですが、これからファイターとしてのキャリアの集大成を作っていく時期でもありますね。

ハイサム:はい、もう少しファイターとして続けたいと思っています。ただ、道場を出すことなども考えています。10年前と今では状況が違いますし、これから自分がどうするのかということも、そろそろ考えないといけない時期だと思っています。アメリカなのか、ドバイなのか、それとも日本に戻ったほうがいいのか。自分にとってどこが一番いいのかを考えながら、これからやっていきたいです。

──ADCCという大きな大会を終えました。次の近い目標は何でしょうか?

ハイサム:まずはドバイに戻って練習して、自分ができるだけ強くなることです。あとは今年12月にイスタンブールで開催される大きな大会もあるので、そこに向けて考えています。それと、2~3週間後にスーパーファイトをやる可能性もあります。なので、相変わらず練習に戻って、次の試合に向けて頑張ります。

──コンスタントに試合のオファーがあるんですね。

ハイサム:一応あります。今年も結構ありました。ただ、いろいろな戦争などの影響もあって、行けなかった試合もありました。これからはもっとオファーが増えてくると思います。アメリカからはまだありませんが、そちらでも試合ができるなら出たいと思っています。

──これからはドバイのグラップリングシーンを活性化させることも目標の一つですね。今後も頑張ってください。

ハイサム:はい、頑張ります。ありがとうございました。

ADCCに3大会連続出場を果たしたリダ・ハイサム。今大会では+99kgに出場し、1回戦でニック・ハートマンと対戦した。

本戦10分を戦い延長戦に突入、そこでテイクダウンにいったハイサムはハートマンのギロチンでタップアウト。

まさかの初戦敗退に終わったハイサムだったが、試合後は早くも気持ちを切り替えて次の試合に向けてドバイでトレーニングに励むという。再起に期待したい。